鋳物の歴史は4000年前から始まっており、人類の技術の蓄積で現在に至っています。産業の米とも言われる所以は、車のエンジンや工作機械のベッド等、強度部材として鋳物が適しており、それに変わる技術は他にありません。変化の激しい現代社会においても、そう簡単になくなる技術ではないのです。
一方、国内の鋳物業界全体としては、人口減少とともに国内生産も減少傾向にありますが、海外ではできないような高品質な鋳物製造は必ず残っていくと考えています。国内だからこそできる技術や品質を追求していきます。これからIoT、第四次産業革命が進んでいく中で、ものづくりの形が大きく変わっていきます。その流れにも遅れずに、職人の仕事の数値化・デジタル化を進め、その上で人の技術をさらに磨くことが必要になってくるでしょう。佐藤鋳工はその実現に果敢に挑戦していきます。
私は将来、佐藤鋳工を世界一の会社にしたいと考えています。技術力でも生産量でも、とにかく世界一になりたいのです。馬鹿げていると思うかもしれませんが、このように夢を持ってやれば、何とかなると信じています。当社にとって大きな転機となったトヨタ自動車との直接取引が開始できたのは、どうしてもトヨタさんとお付き合いがしたいという強い思いがあったからです。私含め従業員全員が、何とかなる、あきらめないという気持ちを持っていました。難しいのではないか、ダメなのではないか、というネガティブなワードが会社になかったのです。
そして今、大切なことは鋳物業界全体が良くなっていくことです。2017年9月に「鋳造産業ビジョン2017(一般社団法人 日本鋳造協会)」が策定されました。私はその策定委員会の委員長として、今後10年間の鋳造業界の羅針盤となるビジョンの策定に関わらせていただくことができました。このビジョンの中では、同業・異業・地域との連携のあり方やグローバル人財の確保・育成など、今後のあるべき姿がしっかりと示されています。このビジョンを一つの柱に、若い人たちが希望を持ちいきいきと働くことのできる鋳造業の未来を目指して、これからも挑戦を続けてまいります。